

迷子の猫はいつまでも移動を続けるわけではありません。室内飼育で知らない人を怖がる猫が外に出ても、多くの場合、1か月ほどのうちに安定して餌が食べられる餌場を見つけ、その場所に定着します。決まった餌場に定期的に現れるようになると、その周辺で目撃情報が得られるようになります。また、誰かに保護されていることもあります。
猫が移動して捜索範囲がひろくなってしまっている場合は、ひとりで捜し歩いても出会えるのは運頼りになってしまいますので、道から目視で捜しながら、迷子チラシを捜索範囲にあるすべてのお宅にポスティングしていきます。迷子チラシをポスティングすることで、捜し歩いたときには出会えなくても、地域住民の方が見かけたら連絡をくださる体制ができあがっていきます。
万一、猫が病気やけがで弱っていたところを誰かに保護されていた場合でも、その猫が捜されている猫だと気づいてもらえます。また、どこかの餌場に出入りするようになっていた場合も、チラシを見た人がそれと気づいて連絡してくれる可能性があります。
迷子の猫がはやくおうちに帰れますように。
外に出て1か月以上経過すると、安定して食事がとれる餌場を見つけ、そこに定着している可能性が高くなります。迷子チラシのポスティング範囲を自宅から半径1キロメートルまでを目安にひろげてください。
猫は住宅の敷地内に隠れていたり、裏庭や家と家の間の塀の上など、道路からは見えにくい場所を移動していることがよくあります。そのため、飼い主さんが道から捜して見つけるよりも、住人の方が自宅で猫を目撃する可能性のほうが高くなります。
また、猫が移動して捜索範囲が広がると、ひとりで捜し歩いても出会えるのは運任せになってしまいます。
そこで、捜し歩くだけでなく、迷子チラシを地域のすべてのお宅にポスティングしていきます。隙間なくポスティングすることで地域に情報の網を張り、うちの猫がどこに移動しても目撃されやすい状況を作っていきます。
万一、うちの猫が空腹や怪我で弱っていたところを誰かに保護されていた場合でも、その猫が捜している猫だと気づいてもらえますし、どこかの餌場に出入りするようになっていた場合もチラシを見た人がそれと気づいて連絡してくれる可能性があります。
迷子チラシの目撃情報から保護に繋がるケースはとても多いです。
迷子チラシは、見た人にうちの猫の特徴を覚えてもらい、連絡につなげるための大切なツールです。できるだけ多くの情報を伝えたくなりますが、情報の詰め込みすぎは逆効果になることもあります。以下の2つのポイントを押さえて、効果的なチラシを作りましょう。
1.特徴は絞り込んで、シンプルに伝える
迷子になると、うちの猫のことを少しでも詳しく知ってもらいたくて、写真や文章をたくさん載せたくなります。しかし、情報が多すぎると見る人の印象に残らず、せっかく見かけても連絡してもらえない可能性があります。また、色が似ているだけの別の猫の目撃情報に振り回されてしまうかも知れません。
大切なのは、「この猫かも」と思ってもらえるひとつの印象的な特徴に絞ることです。
例えば、「しっぽが曲がっている」「右耳に耳カットがある」などの特徴があれば、「しっぽの曲がったキジトラ猫」と大きく書き、しっぽや耳の特徴がわかる写真を添えましょう。ほかの情報はあえて省き、その特徴だけを覚えてもらうようにします。
2.スマホへの保存をお願いする
チラシを受け取っても、常に持ち歩いてくださる方は多くありません。そのため、似た猫を見かけても確認できなかったり、連絡先がわからずそのままになってしまうことがあります。
こうした事態を防ぐために、チラシには「このチラシを写真に撮ってスマホに保存お願いします」と目立つように書いておきましょう。
また、「猫を見かけたら写真を撮ってください」と書いておくのも効果的です。目撃時の写真があれば、うちの猫かどうかを見分ける大きな手がかりになります。

1.日中、猫がいなくなった場所の周辺のすべての家に、近いところから1軒も漏らさずに迷子チラシをポスティングしていきます。お住まいの方に話を聞きながら進めると時間がかかってしまうため、郵便受けにどんどん投函していきます。ポスティングをしながら、庭先など目に入る場所を目視で確認していきます。
2.やみくもにポスティングせず、道路に囲まれた住宅ブロックごとに順番にポスティングを進め、スティング済みの家をゼンリンの住宅地図に記録していきます。また、猫が隠れていそうな空き家や、誰かが餌やりをしている場所(餌場)、外猫の情報なども地図に書き込みながら、迷子猫の捜索地図を作っていきます。
3.チラシの投函が禁止されているマンションは、掲示板に迷子チラシを貼っていただけるよう管理人さんにお願いしてみてください。
4.郵便受けに「チラシお断り」と表示されている場合は投函を控えます。また、チラシや郵便物が詰まっている郵便受けへは投函しません。
5.目撃情報が入ってくるまでは、大通りの向こう側や川の向こう側などは後回しにし、迷子になった場所を中心に全方向へポスティングの範囲を広げていきます。
6.迷子チラシのポスティングは、100枚におよそ1時間かかります。お手伝いをお願いできる人がいたら、手分けして進めてください。
迷子チラシのポスティングを人にお願いするさいは、ポスティングして欲しいブロックをマーカーペンで囲ったゼンリンの住宅地図を一緒に渡して、ポスティング記録を書き込んでいただくようお願いしてください。ポスティングが完了したら住宅地図を回収します。住宅地図で全体のポスティング記録を把握できるようにしておかないと、どこにポスティングしたのかがわからなくなります。
野良猫や自由に外出できる猫の場合、一般的にオスのほうがメスよりも広い範囲を行動する傾向があります。ただし、これは外に慣れている猫に当てはまる話であって、外に不慣れな猫が迷子になった場合には、オスだからといって必ずしも遠くまで移動しているとは限りません。
室内飼育で知らない人を怖がる猫が外に出てしまうと、性別にかかわらず、見慣れない環境や人の存在に怯え、本能的に暗くて狭く、奥まった隠れ場所を探して潜り込もうとします。一度安心できる場所を見つけると、何日も、時には何週間も、そこに隠れたまま出てこないこともあります。
迷子になった猫がどれだけ移動するかは、性別よりも、飼育環境や性格、まわりに外猫がいるかどうか、近くに餌場があるかどうか、そしていなくなってからの日数などの要因によって大きく左右されます。
猫が迷子になったときの行動傾向は、年齢によって違ってます。
これまでの捜索経験をもとに、迷子になった際に見られる年齢ごとの行動の違いについてご紹介します。
もちろん、猫の行動には飼育環境や性格といった要素も影響しますので、個体差があることをあらかじめご理解ください。
1.仔猫期(0-6ケ月)
この時期の仔猫は、通常、母猫のそばにいて、安心して餌が得られる場所を中心とした狭い範囲で生活しており、ストレスや移動を最小限に抑えています。
体の小さい仔猫が迷子になると、その周辺をテリトリーとしている成猫に攻撃されることがあり、その結果、安心できる場所に身を潜めたまましばらく動かないか、追われてやむをえず移動することになります。
また、若さゆえの好奇心から、物音や気配を確認しようと、隠れていた場所からそっと出てきてはまた隠れる、という行動を繰り返す傾向があります。
2.成猫期(7ケ月-10歳)
この時期の猫はテリトリー意識が芽生え、体力的にも自信があるため、迷子になっても活発に行動します。
興味を引かれたものを追いかけたり、外猫とテリトリー争いをしたりして移動してしまうことがあります。発情している場合は、さらに遠くまで移動することもあります。
性格にもよりますが、これまでに外での生活経験がある猫ほど、餌場を見つけるのが早く、そこに定着しやすい傾向があります。
3.高齢期(11歳-14歳)
高齢期になると、猫の行動はより落ち着いた安定したパターンになっていく傾向があります。
迷子になった場合でも、好奇心に突き動かされたり、テリトリー争いや異性をめぐる争いに関わることは少なくなります。
その代わりに、安定して食事ができる餌場や、安心して眠れる寝床を探すことが、主な移動の目的になります。
4.後期高齢期(15歳以上)
後期高齢期になると、足腰が弱くなることが多く、高い場所に登ったり遠くへ移動したりするのが難しくなります。そのため、自宅の近くに身を潜めていることが多くなります。
服薬治療中で、薬が切れるとすぐに症状が現れるような猫の場合、遠くまで移動することは考えにくく、いなくなった場所のごく近くで安心できる隠れ場所を見つけて潜り込もうとする傾向があります。
こうした年齢ごとの傾向を知っておくことは、効果的な捜索につながり、うちの猫を見つける可能性を高める助けになります。
もし迷子猫のチラシをポスティングしたのに目撃情報がまったく入ってこない場合、いくつかの原因が考えられます。以下に、目撃情報が寄せられない主な理由と、それぞれに対して取るべき対策をまとめました。
1. チラシのポスティングに抜けがある
あなたの猫が、チラシがポスティングされていない家の庭などに隠れているかもしれません。たとえその家の方が猫を見かけたとしても、その猫が迷子であることを知らないと、あなたに連絡しようとは思いません。
■ 対策
チラシをポスティングした範囲を地図で確認し、配布漏れのないよう再度ポスティングを行います。
2. 猫が隠れて出てこないので目撃されない
目撃情報がないのは、猫が遠くまで移動したからではなく、実は近くに隠れていて、人のいる時間帯には姿を現さないだけという場合もあります。
■ 対策
近隣にお住まいの方にお願いして、敷地内を懐中電灯でくまなく捜索させてもらいます。特にデッキの下や物置、床下など、猫が入り込みやすい場所を重点的に確認してください。
3. 猫がチラシの配布エリアの外に出てしまっている
迷子になった猫は、他の猫に追われたり、食べ物や安心できる寝場所を探しているうちに、少しずつ自宅から離れていくことがあります。
■ 対策
チラシのポスティング範囲を段階的に拡げていきます。目安として、
・7日以内:半径300メートルまで
・1か月以内:半径500メートルまで
・1か月以上:半径1キロメートルまで
ただし、迷子の猫はいつまでも移動を続けるわけではありません。多くの場合、1か月ほどのうちに安定して餌が食べられる餌場を見つけ、その場所に定着します。決まった餌場に定期的に現れるようになると、その周辺で目撃情報が得られるようになります。また、誰かに保護されていることもあります。
4. チラシで猫の特徴が十分に伝わっていない
あなたの猫が地域の外猫と似ていたり、チラシのデザインで特徴が明確に伝わっていない場合、見かけられても迷子チラシの猫かどうかわからないことがあります。
■ 対策
柄、しっぽの形、耳先のカットなど、あなたの猫を識別しやすい特徴を強調するようにチラシをつくりなおします。

5. 誰かに保護されて家の中で飼われている
猫がもともと首輪をしていなかった、あるいは迷子になって歩き回るうちに首輪が外れてしまった場合、誰かに野良猫だと思われてそのまま室内で飼われてしまうことがあります。特に人懐こい猫はその可能性が高くなります。
■ 対策
チラシを地域全体に漏れなくポスティングして、その猫が捜している迷子猫であることを保護している方に知ってもらいます。
多くの方は保護した猫を健康診断のために動物病院へ連れて行きますので、自宅から少なくとも半径5キロ圏内のすべての動物病院を訪れ、迷子猫のチラシを待合室に掲示してもらえるよう依頼してください。
6. 車で遠くに運ばれてしまった
まれに、猫が車の荷台などに入り込んでしまい、意図せず遠くまで運ばれてしまうケースがあります。また、弱っているところを誰かに保護され、別の場所の動物病院に連れて行かれることもあります。
■ 対策
SNSを活用して、チラシ配布エリアを超えた地域にも情報をひろめます。ネットの迷子情報は、遠方の人々にも知ってもらう手段として有効です。
7. 保健所や動物病院に保護されている
猫が衰弱していたり怪我をしていた場合、親切な人に保護されて、動物病院や地域の動物管理施設に届けられていることがあります。
■ 対策
近隣の動物病院や保健所、動物愛護センターに定期的に連絡をとり、保護された猫の情報を確認してください。迷子チラシを持参して、連絡先も伝えておきます。
SNSでの情報発信は、迷子になった猫のことを多くの人にすばやく知らせるのに役立ちます。しかし、SNSの投稿は不特定多数の人の目に触れるため、デメリットもあります。実際の目撃情報のほかに、その人の迷子猫に関する体験談や、繰り返し届く望まないアドバイスなどを受け取るようになるかもしれません。こうした対応に時間や気力を奪われることもあります。場合によっては、心ないコメントや批判的な投稿が寄せられることさえあります。精神的な疲労を避けるためにも、SNSの対応はできるだけ他の人に任せるほうが、捜索のための気力を保つことができます。
注記:迷子猫は自宅から数百メートル以内に潜んでいることが多いため、広い範囲を移動する迷子犬と比べて、SNSでの拡散はあまり効果がありません。保護施設に収容された場合や、誰かに飼われている場合にはSNSで情報が届くこともありますが、近隣の住民から目撃情報が寄せられることはあまり期待できません。
迷子猫の目撃情報を募るには、迷子チラシを近隣の家々にポスティングするのが最も効果的です。SNSだけに頼ることなく、迷子チラシのポスティングも必ず行うようにしてください。
野良猫や地域猫がいる地域では、餌場がある可能性が高いです。
迷子チラシをポスティングするときに見つけた餌場をすべて地図に記録し、自宅に近い場所から順番に、トレイルカメラを使って計画的に確認してください。
猫の性格やこれまでの経験にもよりますが、ふだんから他の猫と暮らしている猫は、外で出会った猫に対しても、距離の取り方や接し方をある程度理解しており、争いを避ける行動をとる傾向があります。
外で出会う猫との相性にもよりますが、一般的に、他の猫の縄張りに入ったときのトラブルが少なく、餌場でも食べ物にたどり着きやすい傾向があります。
猫どうしは好んで争ったりはしませんので、多くの場合は出会ってもお互いに距離を取りやりすごしますが、周囲に外猫がいる場合には、いくつか考慮すべき点があります。
・他の猫に追い払われ、別の場所に移動してしまう可能性
・外猫たちの餌場に引き寄せられる可能性
・似た猫の目撃情報が寄せられる可能性
以下のように、状況に応じて捜索方法を調整してください。
1.近所にボス的な野良猫がいる場合
近所に縄張り意識の強い野良猫がいる場合、他の猫を追い払ってしまうことがあります。近所で聞き込みをする際には、最近猫がケンカをするような鳴き声を聞かなかったかどうかも尋ねてみてください。これはあなたの猫が追われた可能性を示す手がかりになるかもしれません。
2.野良猫や地域猫がいる場合
野良猫や地域猫がいる場所には、餌場がある可能性が高いです。野良猫は安定して食べられる餌場がなければその場所にとどまることはないため、野良猫が一定の場所にとどまっている場合は、その近くで誰かが餌を与えている可能性があります。
餌場を見つけ、餌をあげている人に、どんな猫が来ているか尋ねてください。
たとえ餌をあげている人から「あなたの猫は来ていないよ」と言われたとしても、実際には気づかれていない場合があります。丁寧にお願いして、最低でも2日間はトレイルカメラを餌場に設置させてもらい、本当に来ていないかどうかを確認してください。
3.近所に似た猫がいる場合
近所にあなたの猫と毛色や模様が似ている猫がいる場合、その猫の目撃情報が寄せられることがあります。そうした誤認を避けるために、迷子チラシはあなたの猫のもっともわかりやすい特徴(たとえば被毛の模様、しっぽの形、耳カットなど)を目立たせるようにデザインしてください。地域の人が正しく見分けられるようにすることが大切です。

トレイルカメラの設定方法は機種によって異なる場合がありますので、詳しくは取扱説明書をご確認ください。
1.トレイルカメラの設定
・動画:撮影時間2分、音声オン
・センサー感度:中
2.トレイルカメラの設置位置
餌や捕獲器からおよそ1~2メートル離れた場所にトレイルカメラを設置してください。猫のしっぽの形や毛柄がわかるよう、側面から全身が映るように調整します。
カメラによっては近すぎると、夜間撮影で白とびして猫が真っ白に映ってしまうことがあります。夜間に白とびしないよう、あらかじめカメラとの距離を調整して確認してください。
3.設置の許可取り
人さまの敷地や餌場にトレイルカメラを設置する場合は、必ず事前に許可を取ってください。
トレイルカメラには、設置の目的、設置期間、連絡先を明記しておきましょう。
4.盗難防止
人目につく場所に設置する場合は、茂みの中や物陰など目立たない場所に隠すように設置してください。
また、柱などに鍵付きワイヤーで固定することをお勧めします。
5.設置期間
トレイルカメラは日没に設置し、翌朝に映像を確認してください。
迷子の猫がすぐに現れるとは限らないため、最低でも2日間は設置を続けてください。
2日間経っても映らない場合は、設置場所を変更してください。
6.野良猫や地域猫がいる場合
野良猫や地域猫がいる場所には、餌場がある可能性が高いです。野良猫は安定して食べられる場所がなければその場所にとどまることはないため、野良猫が一定の場所にとどまっている場合は、その近くで誰かが餌を与えている可能性があります。
たとえ餌をあげている人から「あなたの猫は来ていないよ」と言われたとしても、実際には気づかれていない場合があります。丁寧にお願いして、最低でも2日間はトレイルカメラを餌場に設置させてもらい、本当に来ていないかどうかを確認してください。
(参考)トレイルカメラで捕獲器に近寄る猫を撮影
目撃情報が入ったら、現場に行って捜し、保護します。
目撃情報の電話は、突然かかってくることが多いものです。慌てないようにするために、あらかじめ以下の項目を手帳やメモアプリに書き留めて、いつでも取り出せるように準備しておくと便利です。
目撃情報の電話がかかってきたら、丁寧にお礼を伝えたうえで、目撃に関する詳細を尋ねます。
1.猫を見た日時(いつ見たか、いつから見かけているか)、正確な場所、見かけたときの様子、どちらの方向に向かっていたかなどを聞き取ります。猫の見た目について質問する際は、「右耳に耳カットがありましたか?」のように誘導的な聞き方は避け、相手の記憶にあるままを話してもらうようにします。
2.写真がある場合は、SMS などで送ってもらうように頼みます。また、うちの猫の特徴を伝え、次に猫を見かけたときにその特徴がわかるように写真を撮っていただけようにお願いしてください。
3.電話をくださった方の名前を聞き、可能であれば再度こちらから連絡させてもらえるようお願いしましょう。また、次に猫を見かけたときに写真を撮っていただけるかもお願いしておきます。
4.相手の連絡先は、スマートフォンの電話帳に「目撃情報 ヤマダさま」などのように登録しておくと、次回電話がかかってきたときにすぐに誰からの連絡かがわかります。
必要なもの:懐中電灯、好物のオヤツ、キャリーバッグ、迷子チラシ、フード、トレイルカメラ
目撃情報は非常に重要です。通常、どんどん電話がかかってくることはなく、数件の情報からうちの猫の居場所を突き止めていくことになります。そのため、外観が明らかに違う、場所が遠すぎるなどでない限り、ていねいに1件ずつ確実に確認をしていきます。
1.すぐに目撃現場に行く
目撃情報があったら、できるだけ早くその場所に向かい、周囲を徹底的に捜索してください。
可能であれば、通報してくれた人に現地で会ってもらい、見かけた時刻や状況、猫の様子などを詳しく聞いてください。
2.周辺で聞き込みをする
捜してもすぐに見つからない場合は、近隣の方に迷子チラシを渡しながら聞き込みをします。迷子チラシの写真に似た猫を見かけていないか、見かけている場合はいつから見かけるようになったか(迷子になる前から見かけている場合は違う猫の可能性があります)、近くに餌場がないかなどの聞き込みをします。
餌場があれば、餌をあげておられる方にお会いして、うちの猫を見かけていないか聞いてください。
3.トレイルカメラで確認する
現地に行ってもうちの猫が見つからない場合や、毛色と柄が似た猫がいて目撃情報がうちの猫かどうか確信が持てない場合は、トレイルカメラを使って確認します。
猫が隠れそうな場所を見つけ、目撃場所の近くから順番に、匂いの強いフードとトレイルカメラを設置し、うちの猫が匂いに釣られて食べにこないかを確認してください。
餌場があれば、餌場もトレイルカメラで確認します。たとえ餌をあげている方から「あなたの猫は来ていないよ」と言われたとしても、実際には気づかれていない可能性があります。そう言われた場合でも、丁寧にお願いして、最低2日間はトレイルカメラを餌場に設置させてもらい、うちの猫が来ていないかどうかを確認するようにしてください。
必要なもの:好物のオヤツ、キャリーバッグ
1.迷子になっていた猫を見つけたら、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察してください。
2.名前を呼んでも猫が緊張したり逃げようとしたりしない場合は、姿勢を低く保ったまま、やさしく声をかけながらゆっくり近づきます。猫が差し出した指の匂いを嗅ぎに来たら、そっと体に触れて素手で抱き上げることができるかもしれません。猫の好物のおやつを差し出すことも、警戒心を和らげるのに役立ちます。
3.ぶじ素手で捕獲できたら、腕からすり抜けて逃げてしまわないように、すぐに猫をキャリーバッグに入れてください。キャリーバッグがない場合は、洗濯ネットなどで代用します。
4.近づくと背中を丸めて後ずさりしたり、飼い主さんの指の匂いを嗅いでも警戒している場合は、姿勢を低くしたまま猫の緊張が解けるのを待ちます。緊張が解けるに30分以上かかることもありますが、辛抱強く待ちます。
5.猫の緊張が解けそうにない場合は、いったんその場を離れてください。無理に捕まえようとして追いかけて逃してしまうと、また居場所を捜す作業からはじめなければならなくなります。より確実に捕獲するために捕獲器を使います。
猫が潜り込んだ場所から出てこない場合は、逃げられないように周りをブロックなどで囲い、出口に捕獲器を設置します。
うちの猫を見つけても、隠れたところから出てこなかったり、近づくと逃げそうになる場合は、より確実に保護するために捕獲器を使ってください。
市販の踏板式捕獲器を使った捕獲方法をご紹介します。
捕獲器の扱い方はメーカーによって異なる場合がありますので、詳しくは取扱説明書をご確認ください。

1.決まった時間・場所での餌付けを習慣化する
・捕獲器は、うちの猫の居場所がわかってから設置してください。
居場所がわからないうちに設置すると、他の猫が入ってしまい管理が大変になったり、ご近所とトラブルになることがあります。
・うちの猫の居場所がわかったら、その場所に毎日同じ時間にフードを置き、定期的に食べに来るように餌付けします。
捕獲器は、うちの猫が食べに来る時間帯だけ設置することで、他の猫がかかるリスクを減らすことができます。
2.設置の許可を取る
・自分の所有地以外に捕獲器を設置する場合は、その土地の所有者に許可を取ってください。
・まわりに自由外出の猫がいる場合は、捕獲器を設置する時間帯は猫を外に出さないよう、飼い主さんにお願いしてください。
・まわりに地域猫がいる場合は、管理している方にお願いして、捕獲器から離れた場所で十分な量の餌を与え、捕獲器に入らないようにしてください。
・捕獲器には、設置の目的、設置期間、連絡先を明記しておきましょう。
3.餌場の管理をお願いする
猫は飢えていないと捕獲器に入りません。
近くで猫に餌をあげている人がいる場合は事情を説明し、あなたの猫がその餌場で食べてしまわないよう餌場の管理をお願いしてください。
4.使用前の安全確認と清掃
・捕獲器に、猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認し、ある場合はヤスリで丸く削ってください。
・捕獲器の奥側のスライド式扉が、猫に上方向に押し上げられて開かないことを確認してください。もし、軽い力でも上に押し上げて開けられるようであれば、結束バンドでしっかり固定してください。
・踏板を踏むと扉が瞬時に閉まるか確認してください。軽く揺らしただけで扉が閉まってしまう場合は、フックがしっかり引っかかるように調整してください。
・捕獲器に他の猫のにおいがついている場合は、消臭スプレーや水洗いでしっかり取り除いてください。
5.捕獲器を猫が安心できる環境にする
・捕獲器の上にシーツをかけて網目を隠し、猫が落ち着ける暗く静かな環境にします。うちの猫のにおいがついたシーツを使うと、より安心感が高まります。中にはペットシーツなどを敷いて、猫が歩きやすくします。
・捕獲器の中に置くフードは、うちの猫が普段食べている好物を使ってください。焼き魚など匂いの強い食べ物を添えるのも効果的です。
・虫が多い季節には、平皿に水を張り、その中に足つきの皿を置いてフードを盛ると、ナメクジや虫が寄り付きにくくなります。
6.捕獲器の設置場所
・人が立ち入らない静かな場所を選んでください。猫が通りそうな狭い通路に対して、捕獲器は平行に、ただし中央ではなく少し脇にずらして設置してください。そのほうが、通路の真ん中に置くより効果的です。
・猫は食べ物に興味を持っても、見慣れない捕獲器に警戒して近づかないことがあります。茂み、車、物置、ウッドデッキなどのすぐそばの猫が落ち着いて観察できる場所に設置してください。用心深い猫は、安全だと感じるまでしばらく観察してから近づきます。
・捕獲器入口の手前に、ごく少量のフードを置いてください。警戒して捕獲器に入らない猫もいますが、捕獲器の外のフードがなくなっていれば、そこになにかしらの動物が来たことがわかります。
捕獲器まわりにそれ以外のフードは置かないでください。それで空腹が満たされると、リスクを犯してまで捕獲器に入らなくなります。
7.トレイルカメラで観察する
うちの猫が捕獲器にかからない場合、そもそも近くまで来ているのか、警戒しているだけなのかを確認するために、捕獲器が映る位置にトレイルカメラを設置してください。
8.捕獲器の見守りと安全管理
・猫の性格や飼育環境にもよりますが、人通りが少なくなる夕方から明け方にかけての時間帯が設置には適しています。
・夏の昼間は、短時間でも熱中症の危険があるため設置してはいけません。
・捕獲器を設置したら、人の気配を感じさせないようその場を離れます。
・捕獲器のまわりに人の気配があると、猫は近づいてきませので、捕獲器の扉が閉まっているかどうかは、離れた場所から懐中電灯で照らして確認するようにします。
・捕獲器に動物が入った状態で長時間放置すると怪我や衰弱のリスクが高まりますので、3時間おきに離れた場所から扉が閉まっているか確認してください。閉まっていなければ静かに立ち去ります。
・もし他の動物が誤って捕獲器にかかってしまった場合は、動物を傷つけないよう注意しながら、ただちにリリースしてください。
リリースする際は、手首や腕を引っ掻かれないよう注意してください。感染症のリスクがあります。もし引っ掻かれたり、噛まれたりした場合は、すぐに傷口を流水でよく洗い、医療機関で処置を受けてください。
・捕獲器にかかった猫がうちの猫に似ている場合は、リリースする前に、うちの猫との違いがわかる特徴を写真に撮ってください。今後、迷子チラシを見た人から寄せられる目撃情報の確認に役立ちます。
9.捕獲できたら
・捕獲に成功しても、その場で捕獲器を開けないでください。自宅に連れて帰り、すべての窓やドアを閉めたうえで、室内で捕獲器から出してください。
・もし、猫が怪我や衰弱をしている場合は、捕獲器に入れたまま、できるだけ早く動物病院に連れて行ってください。
迷子の猫を保護できたら、必要な医療ケアを受けさせるために、できるだけ早く動物病院に連れて行ってください。
1.夜間に保護した場合
猫が怪我をしていたり、ひどく衰弱している場合は、すぐに24時間対応の夜間救急動物病院で治療を受けさせてください。
2.見た目に問題がなさそうな場合でも
一見元気そうに見えても、念のため、かかりつけの動物病院で診察を受けてください。脱水症状、外傷、歯や爪の損傷、ノミ・ダニ・寄生虫、感染症などの有無を確認してもらいましょう。
3.検査が終わるまでは隔離を
健康状態の確認が終わるまでは、感染症の可能性を考え、他のペットや人との接触を避けるために、ケージや別室に隔離してください。
4.喧嘩で咬まれていた場合
喧嘩で咬まれていた場合、数日後に腫れや化膿などの症状が現れることがあります。注意深く観察し、異常が見られたらすぐに動物病院で処置を受けてください。
5.ストレスのかかるシャンプーは避ける
猫がひどく汚れていない限り、すぐにシャンプーをするのは避け、まずは自分でグルーミングさせてあげてください。どうしても汚れが気になる場合は、アルコールなど刺激の強い成分を含まないペット用のボディタオル、またはしっかり絞った蒸しタオルでやさしく拭き取ってください。
6.保護の際に飼い主が咬まれたり引っかかれたりした場合
猫を保護する際に咬まれたり引っかかれたりした場合、感染症のリスクがあります。すぐに流水で傷口をよく洗い、腫れなどの症状が出た場合は、すぐに病院で診てもらってください。
7.自宅での猫の落ち着かせ方
無事に自宅に連れて帰ったあとでも、猫が落ち着かない様子を見せることがあります。
・猫を自宅に連れ帰ったときに、飼い主さんが感極まって大声を出してしまうと、猫が不安を感じることがあります。お気持ちはよくわかりますが、できるだけ冷静に、やさしく「おかえりなさい」と迎えてあげてください。
・外にいたこと自体が猫にとって大きなストレスとなり、まだ興奮が冷めていないことがあります。落ち着かない様子が見られる場合は、しばらく静かな部屋で過ごさせて、気持ちを落ち着けてあげてください。
・同居猫がいる場合、保護した猫に外の匂いや他の猫の匂いがついていることで、威嚇や攻撃的な反応を示すことがあります。しばらくは別々の部屋で過ごさせてください。
・多くの猫は、数日から1週間ほどで徐々に落ち着いてきます。焦らず、猫のペースに合わせて見守ってあげてください。
迷子だった猫が無事に保護できたら、目撃情報をくださった方や捜索に協力してくれた方々に、ぜひそのことを知らせて感謝の気持ちを伝えてください。
許可を得て掲示した迷子チラシがある場合は、「見つかりました」と書いたメモを貼り付けて、3日ほどしたら撤去しましょう。迷子のことを心配してくださっている地域の方は多いものです。
迷子の届出をした警察署、動物愛護センター、公共事業局(道路清掃担当)、動物病院などにも、猫が見つかったことを報告してください。
猫が無事におうちに戻れて、本当によかったです。
これからも、大切な家族と一緒にたくさんの幸せな時間を過ごせますように!
(お願い)
捜している猫が見つかったときはぜひ、迷子の飼い主さんサポート活動の「迷子が見つかりました!」から、保護までの経緯をお知らせください。
チャットボットの捜索プランをさらに精度の高いものにすることと、迷子を捜している多くの飼い主さまのお役にたてる情報発信に活用させていただきます。
ゼンリンが販売する、地名と1軒ずつ表札の名前が記載された白地図です。全国が網羅されており、横約610m×縦約380mのエリアがA3サイズに記載されています。
セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンにあるマルチコピー機を操作して必要なエリアを選択し、プリントアウトします。1枚 400円(税込)。捜索範囲が A3 1枚で収まらない場合は、範囲をずらして印刷して貼り合わせ、大きな地図を作ります。
うちの猫を見つけて素手で捕獲できても、連れて帰る途中で腕からすり抜けて逃げてしまう可能性があります。たとえ家までの距離が10メートルしかなくても、興奮している猫を抱っこしたまま逃がさずに連れて帰るのは非常に困難です。安全に捕まえられたら、すぐにキャリーバッグに入れてください。キャリーバッグがない場合は、洗濯ネットなどで代用します。
トレイルカメラとは、屋外で野生動物を自動的に撮影・録画するために設計された動体検知カメラです。昼夜を問わず使用できます。
猫などの動物が近づくと、その動きを感知して画像や映像を記録します。
トレイルカメラは電池で動作し、防水仕様で、撮影されたデータは本体内のメモリーカードに保存されます。
このカメラは、置いた餌を食べに迷子の猫が来ているかどうかを確認したり、捕獲器周辺の様子を観察したりするのに特に役立ちます。
人の気配を感じさせず、静かに一晩中監視できるため、迷子猫の捜索において非常に効果的なツールです。
捕獲器にはさまざまな種類がありますが、一般の飼い主の方には、入手しやすく、操作が簡単な「踏板式捕獲器」の使用をお勧めします。
このタイプの捕獲器は、奥に餌を置いて猫を誘導し、猫が踏板を踏むとスプリング機構で扉が閉まる仕組みです。
捕獲器のサイズが小さすぎると、せっかく猫が中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず外に出てしまうことがあります。
奥行き約762mm、幅254mm、高さ254mm程度のサイズのものを選ぶようにしてください。
1.迷子になった時の猫の心理と行動
室内飼育で知らない人を怖がる猫が外に出てしまうと、見慣れない環境や人の存在が怖くなり、本能的に暗くて狭く、奥まった隠れ場所を探して潜り込もうとします。
見慣れない環境や人の存在を怖がっている猫は、通常遠くまで移動することはなく、自宅から数メートルの距離にある隣家の物置や、外から入れる床下などに隠れていることが多いです。
一度安心できる場所を見つけると、何日も、時には何週間も、そこに身を潜めたまま出てこないこともあります。
室内飼育で知らない人を怖がる猫は、できるだけ体を晒さないように非常に慎重に移動します。野良猫とは違い、塀の上や屋根の上、道路や橋の上を歩くことはほとんどありません。
なかには慣れない屋外環境に混乱して、最初は車の下や庭でぼんやりする猫もいますが、やがて安全に隠れられる場所を見つけて潜り込みます。
外の環境が怖くて隠れている猫は、道の上から見渡せる範囲だけで捜しても見つけるのは非常に困難です。名前を呼んでも反応しません。
近所を歩き回って捜しても見つからないと、遠くへ行ってしまったのではないかと心配になりがちですが、実際には単に見えにくい場所に隠れているだけであることがほとんどです。
隠れている間、猫は食事をとることができませんが、ほとんど動かないためカロリー消費も少なく、数日間は深刻な衰弱に至ることはありません。
しかし、いつまでも食べずにいることはできないため、やがて空腹が警戒心を上回ると、ひとけのない時間帯に恐る恐る隠れた場所から外に出て、水や食べ物を探し、またすぐに隠れるという行動を繰り返すようになります。
野良猫や地域猫が多い地域では、人が定期的に餌を置く餌場が存在することがあります。
空腹の迷子猫はそうした餌場に近づこうとしますが、室内飼育で知らない人を怖がる猫にとって、他の強い猫と餌を奪い合うのはむずかしいかも知れません。
追い払われて、別の餌場を探しに移動せざるを得なくなることもあります。
餌場で十分に食事がとれないと、生き延びるためにネズミ、鳩、スズメ、トカゲ、カエルなどの小動物を狩り始めることもあります。
しかし、すべての猫が狩りに成功するわけではありません。人からの食べ物が得られないと、お腹をすかし、よりよい餌場を求めて移動し続けることになります。
2.日にちの経過による行動パターンの変化
外に出た直後は、空腹よりも警戒心が勝るため、自宅から非常に近い場所に潜み、ほとんど動かないため、目撃されることもほとんどありません。
数日から数週間が経過すると、空腹に耐えられなくなり、恐る恐る周辺を探索して水や食べ物を探し始めます。
どこで、いつなら安全に食べられるか、餌場に集まる他の猫たちの様子を観察しながら、安全に食事ができる方法を探っていきます。
しかし依然として、人目のない時間帯にしか行動しないため、目撃されることは少ないままです。
数週間から1か月ほど経過すると、猫は周囲の環境に慣れ、少しずつ自信をつけていきます。
より良い餌場を求めて少しずつ行動範囲を広げるようになり、活動時間も長くなるため、目撃される可能性が高まってきます。
1か月以上経過すると、安定して食事がとれる場所を見つけ、その地域に定着している可能性が高くなります。
決まった餌場に定期的に現れるようになると、その周辺で目撃情報が得られるようになります。
また、誰かに保護されていることもあります。